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2014.03.04 NEWS NY

野菜と向き合う「食」を体験 精進料理の講演・試食会

ごまどうふ、焼き野菜とフルーツの胡麻和え、季節野菜の煮しめなどが美しく盛られたこの日の特別ティスティングメニュー=2月27日(photo: Koike)


 マンハッタン区のジャパン・ソサエティーで2月27日、棚橋俊夫氏を講師に迎え「精進料理:『からだ』と『こころ』にやさしい日本の食事」と題した講演・試食会が開催された。和食が無形文化遺産に登録され、野菜だけを使った究極の和食「精進料理」を体験しようというニューヨーカーで、会場は超満員となった。
 ステージ上で正座してごまをする棚橋の第一声は「Please close your eyes」。来場者全員が目を閉じ、静かな時間が流れ、ごまをする音と豊かな香りが漂う中、講演は始まった。
 有名フレンチシェフが野菜をテーマにした店づくりを始めていることを例に挙げ、「人間はもちろん、全ての動物は野菜だけで生きていけるようにできている。精進料理は、毎日食べても飽きず、身体が喜ぶ。感度のよい人たちは、気づき始めている。これこそがこれからの食のあり方」と語った。
 また、「健康になるために、手間をかけ時間をかける覚悟があるか──問題はそこ。精進料理は、人が作ったものを店で食べて、身体が元気になるだけでは意味がない。何故なら、作っている時間も心を豊かにする大切な時間だから」だという同氏の言葉に、会場は静まり返った。
 試食会では、来場者らは美しく盛りつけられた料理を味わった。
 棚橋氏は滋賀県大津市の有名な禅寺「月心寺」の村瀬明道尼のもとで修行、精進料理を学ぶ。「哲学は机の上ではなく生活の中にある」と言い、精進料理を通し、野菜の素晴らしさや心身ともに豊かな生活を提案するため、世界を回っている。

居住まいを正してごまをする棚橋俊夫氏=同

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