ウエスト・ハウストンで見つけたイタリアのマンマの味
アッパーイースト? アッパーウエスト? はたまたブルックリン?──
「本当にうまいものは、いったいどこにあるのだろう?」
マンハッタン区のダウンタウン、ウエスト・ハウストン通りには、グルメをうならせる寿司屋や若者でにぎわうスペイン料理屋など、うまいものを食べさせてくれそうな店が軒を連ねている一角がある。イタリアン・レストラン「Da Marcella Taverna」も、そこにある。午後7時を過ぎる頃には、46席の店内はあっという間にいっぱいになってしまう。テーブルには、どれも目移りしてしまいそうな料理が、どんどん運ばれて行く。個性も年代もさまざまな6人のパートナーたちが店を切り盛りしており、「あれは何?」と指を指して尋ねると、ニヤリと笑って自慢料理の説明をしてくれる。
あちこちのテーブルで人気の「Polpo Marinato alla Griglia」(12ドル)を、まずは前菜にオーダーしてみよう。香ばしくグリルした上でマリネされた新鮮なスペイン産のタコは、いやが上にも食欲をそそり、ワインもすすむ。また、もうひとつぜひオーダして欲しいのが、メニューに「シェフ・フランチェスコの」と書かれている自慢のビール(子牛)と豚肉のミートボール「Polpettine al Sugo」(8ドル)。濃厚で、うまみたっぷりのトマトソースがたまらない。
イタリア料理では欠かせないパスタも、種類が豊富。しかもそのほとんどが10ドルで食べられるというのだから驚き。「Tagliatelle alla Bolognese」もその例に漏れず10ドルだが、8時間もコトコト煮込んだボローニャソースと幅広のパスタの組み合せは絶妙。麺の茹で具合といい、ソースの味わいといい、本格派であることに疑いの余地はないのだが、どこか子どもの頃に食べたミートソースを思い出させてくれる懐かしさだ。
メインには、ぜひ「Costa di Manzo Brasata al Barolo」(19ドル)を選びたい。牛のリブ肉を、イタリアを代表する赤ワインのバローロでホロホロになるまで煮込んだこの一皿。イタリア料理の中でも店によって味が異なる、付け合わせのポレンタとの相性もさすが。またカジュアルな台所のような雰囲気でありながら、味わい豊かな料理にぴったりのワインの充実ぶりにも驚かされる。
この店の客層が幅広く、誰からも愛されているのは、こんなマンマの味を財布に優しい値段で食べさせてくれるからだろう。お腹も心も満たされた帰り道、「また来よう!」そう思ってしまうに違いない。
Da Marcella Taverna
142 W Houston St (bet MacDougal & Sullivan St)
☎646-559-9192
www.DaMarcella.com■営業時間
ディナー 月〜日曜:5pm〜11pm
ハッピーアワー 月〜金曜:4pm〜7pm