ニューヨーク市タクシー・リムジン委員会(TLC)は今週、市がタクシー車両への搭載を計画しているスピード違反対策技術に関する情報開示を求める要請書を提出した。
これは、同市のビル・デ・ブラシオ市長が2月に発表した、交通事故死撲滅を目指す「ビジョン・ゼロ計画」の一環で、タクシーが制限速度を超えて走行すると自動的に減速する調速機や、運転手の疲労や無謀運転などを察知し、警報を鳴らす助言システムを車両に搭載しようというもの。
10日には市議会議員のジミー・バッカ氏が、タクシーの速度や急停止などをTLCに報告するため、旅客機で使用されているブラックボックスをタクシーにも搭載することを求める条例案を提出した。このプログラムはまず試験的に行い、運転手への罰則などは設けない意向。
だが、ニューヨーク市タクシー運転手同盟本部長のバイラビ・デサイ氏は、「他の車両がスピードを出している高速道路などで低速走行をすれば、タクシーの運転手が危険にさらされることになるし、マンハッタン区の渋滞地域では、速度制御装置は意味がない」と主張している。
市のデータによると、マンハッタン区60丁目以南のタクシーの平均速度は、時速約9マイルだという。また、2006年の同市運輸局の調査によると、タクシーやハイヤーによる1マイル毎の交通事故率は、他車両より3分の1低かった。
ニューヨークのタクシーと言えば「運転が荒い」というイメージが定着している。