上昇し続けるNY市の家賃 低所得者層向け住宅対策が急務


 ニューヨーク市会計検査官のスコット・ストリンガー氏が発表した最新の調査結果によると、過去約10年間の市の家賃上昇率は全米でもっとも高く、市内の住宅は低所得者層にとってますます手の届かないものになりつつあることが分かった。
 同調査によると、同市の平均家賃は698ドルだった2000年から12年の間に67.2%上昇し、現在は1167ドルとなっている。なお、これには法規制家賃(rent-stabilization)の住宅や公共住宅も含まれている。
 中でも若者を中心に人気のあるブルックリン区の家賃上昇率は77%で、市内でもっとも高い数値となった。これに対し、同期間における全国の平均家賃の上昇率は50.1%で、773ドルであった。
 その一方、市民の実質所得の中間値は4.8%も低下。このため、家賃の高騰は市民にとって大きな負担となっている。2000年の調査では、年収が2万ドル〜4万ドルの低所得世帯は所得の33%を住宅費に充てていたが、12年には42%にまで上昇した。
 この実態を踏まえストリンガー氏は、低所得者層向け住宅政策の必要性をあらためて指摘しており、年収4万ドル以下の世帯向け住宅の建設や、安価な家賃の公共住宅への大規模投資のほか、資金的に困窮している法規制家賃住宅に対しても何らかの介入策が必要であるとしている。