消費税率が8%に引き上げられて以降、日本では各種メディアがその影響を競って報道している。
増税前の駆け込み需要への反動で、白物家電などの販売が凍りつくことは想定されていたが、外食産業では興味深い調査結果が見られる。例えば、大手ファミリーレストランチェーンでは、お得感を感じさせるメニューを増やすなどの努力が功を奏し、4月に入ってからの売上高が例年の同じ時期よりも伸びたという。また、消費者庁の調べでは、(増税による客離れ回避に向けた大手チェーンの値下げにより)「ハンバーガー」の税前価格が3月と比べて5・6%低下、つまり、税込み価格の平均が増税前よりも下がっているのだ。
外食産業にそのような企業努力の形跡が見受けられる一方、経済全体や金融市場に目を向けると、「株式相場の大幅な下落」や「デフレが再燃しかねない」という雲行きの怪しさが感じられる。その背景には、アベノミクスにおける3本の矢の1本目を放った日本銀行が、市場関係者や産業界の期待を裏切りかねないことが挙げられる。
消費増税による影響で、4〜6月期の国内総生産(GDP)が1〜3月期と比べてマイナス成長に陥ることは元々想定されているが、これまでは「経済活動が冷え込まないよう、日銀は夏頃までに追加的な行動を打ち出す」と期待されていた。しかし、4月8日の黒田総裁の会見を受けてそのような期待感は一気にしぼみ、市場では株安・円高が進行した。もっとも、日銀の責務は「物価の安定」であり、このところの経済指標には追加的な行動を正当化する要因は見当たらないため、日銀に株安・円高の責任を押し付けるべきではない。とはいえ、「円安→輸入物価の上昇→消費者物価の上昇(デフレの後退)」というサイクルがほころびつつあるのは事実であるため、安倍政権が3本目の矢「成長戦略」を放ち損ねれば、日本の景気は今年後半にも完全失速しかねない。
そうなると、2015年10月に消費税率が10%に引き上げられることはなくなるかもしれないが、このような皮肉な税率据え置きを誰も望んではいないだろう。一般市民や小売店にとっても、3本目の矢が市場にポジティブサプライズをもたらすことは、今や必須なのである。
(在NYエコノミスト 西川泰亮)
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