NYPD、グラフィティ撲滅に意気込み 苦情の増加受け

NY独自のストリート・カルチャーとして評価される一方、苦情も後を絶たないグラフィティ


 ニューヨーク市警察庁(NYPD)はこのほど、ことし1月に本部長に就任したビル・ブラットン氏のもと、スプレー式ペンキによる落書き(グラフィティ)への対策を最優先事項のひとつに掲げ、撲滅に向けて全力で当たる体制であることを明らかにした。
 米紙ニューヨーク・ポストによれば、グラフィティに関する市民からの苦情は、ことしに入って4167件に上るという。これは、昨年の同時期と比較して約5%多い数字となる。
 特に、バッテリーパークから59丁目までのマンハッタン区南部では、昨年より14%も多い453件の苦情が寄せられていた。また他の区についても、ブルックリン区を除くすべての区で苦情が増えていることが分かっている。
 ブラットン本部長は就任当初より、街の景観が治安の維持に大きな役割を果たすとする「割れ窓理論」を掲げており、これらを取り締まることで、犯罪率の低下が期待できると指摘する。
 NYPD広報のステファン・デイヴィス氏によると、落書きが増えている原因は、グラフィティ・アーティストの間でより多くの作品を残し、知名度を上げようとする競争が激化しているためと考えられるという。このためデイヴィス氏はNYPDの対策について、「グラフィティが描かれてからNYPDがペンキを上塗りして消すまでの時間が日単位ではなく分単位に短縮されれば、大きな抑止力になるだろう。繰り返し落書きされる地域については、防犯カメラを導入する」と説明している。