パソコンやスマートフォンなど、さまざまなハイテク機器が生活の一部となっている米国で今、日本の「そろばん」が子どもたちの基礎学力を上げる有力な手法のひとつとして注目されている。
そろばんで暗算力、集中力、忍耐力を培う
マンハッタン区だけに留まらず、ブルックリン区やスカースデール、ニュージャージー州フォートリーでそろばん教室を展開する「The Soroban School」。ひと昔前の日本人なら誰でも使えたが、デジタル時代の到来により、その存在がどんどんと薄れていった、そろばん。だが最近では、計算能力の向上だけでなく、集中力や記憶力、そして忍耐力を高めることができるとして、あらためてその魅力に惹かれる人々が急増、日本でも再び脚光を浴びている。同校は、米国で日本伝統の「そろばん」を教えるユニークな教室だ。授業はすべて英語で行われ、1クラスは最大5人までの個別指導が中心となる。授業の最初にウォーミングアップがあり、ここでは生徒全員が講師により出された課題を一斉に解く。その後は、個別指導。15から20問を1セットとし、7分間でどれだけ解答できるかを計る。先生が日英バイリンガルなので、英語が苦手な生徒には日本語のフォローアップもしてくれる。
講師のひとりである佐藤トム先生は、日本で行われたそろばん大会の成人の部で2位になったこともあるという実力の持ち主。同校も毎年ニューヨークで大会を開催し、生徒のモチベーションを高めている。日本人の割合は現在、約3割程度。5歳から8歳までの生徒が中心だが、3歳の幼児から40歳以上の大人まで、親子で一緒に学習する生徒もいる。
4歳と6歳の子どもと一緒に通う数学教師のミッシェルさんは、「子どもがそろばんを習い始めてから、暗算の速さや正確性だけでなく、すべての分野の学習ですばらしい結果を出しています。数学教師として、自分の生徒にもできるだけ暗算を促すようにしています。そろばん学習で培った論理的思考が、将来子どもたちが社会に出た時に大いに役立つと確信しています」と話す。
また、佐藤先生も「そろばんは、子どもの将来に対する投資と考えている親が多いと思います。この学習で基礎的な計算力が身に付き、学年ごとに難しくなる算数や数学の授業内容でもきちんと理解できるようになる。何より、勉強に自信がつき、学習が楽しくなることはすばらしいことです」と語る。
トップクラスを育てるのではなく、個々を成長させる
同校では、1人のトップを育てるのではなく、個人の能力を伸ばすことに重きを置いている。
①生徒が自信をつけるということ
②自発的に目標を持ち、それに向けて頑張ること
―その経験は生徒の長い人生においてさまざまな形で役立つと考えている。生徒がのびのびと学習し、皆仲がよく自由に発言できる環境も、同校の特徴と言えるだろう。
レベルもそれぞれで、中には年に1度行われる「全米そろばん大会」で優勝経験のあるトップの生徒もいれば、楽しく自分のペースで学んでいる生徒もいる。講師は生徒としっかりと向き合い、一人ひとりの目標に沿って一緒にステップアップする。また生徒同志の仲も良く、皆でボーリングやキャンプに行ったりと、親睦を深めるさまざまなアクティビティーも行っている。
授業は初回のみ個別の無料コンサルテーションがある。また、6月25日から8月末までは、フレキシブルなサマースクールを開講している。1クラス1時間の受講料は50ドルで、1クラスから受講することが可能。この夏は、親子そろって楽しく「そろばん」を学ぶというのも、おもしろいかもしれない。
The Soroban School
Y・NJ教室
☎646-661-4368
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