ニューヨーク市議会は26日、不法滞在者にも市が発行する身分証明書(IDカード)を与えるよう定めた条例を、43対3(不在者2人)で可決した。これにより、同市におよそ50万人いると推定される不法滞在者が銀行口座を開設したり、アパートの賃貸契約を結ぶなど、写真付きのIDが求められる手続きを行うことができるようになる。
2015年から発行が始まる市のIDカードには、所有者の写真に加え、氏名、住所、生年月日、有効期限が記される。発行には、自国で発行された出生証明書、運転免許証または光熱費の請求書など、市に居住していることを証明する書類などが必要とされる。
条例案を支持していたビル・デ・ブラシオ市長は「すべての市民は身元の証明をしたり、主要サービスを受けるための正式なIDカードを持っても良いはずだ。カードの発行により、怯えて暮らす高齢者やホームレス、不法滞在者に、尊厳と心の平穏をもたらし、生活していく上での障害が削減されるだろう」と語った。
カリフォルニア州ロサンゼルス市およびサンフランシスコ市、コネチカット州ニューヘブン市など移民が多く住む都市では、すでに不法滞在者にも市発行のIDカードを与える制度を採用している。