第47回寿海 | DAILYSUN NEW YORK

第47回寿海

07/18/2014

よくばりに、そして贅沢に―　大人のための松花堂弁当

オーナーシェフの渡辺博文さん

　本格的な懐石と日本食を提供するマンハッタン区の台所「寿海（じゅかい）」。味はもちろんのこと、新鮮な食材や細部にまでこだわった美しい盛り付けにも定評がある。自らが厨房に立ち、現場を監督する若きオーナーシェフの渡辺博文さんは「お客さんにおいしいご飯とお酒を楽しんでもらうことしか考えていない」と笑う。そんな本人もまた、〝食べること・飲むこと〟が大好きだからこそ、美味の探求にどん欲だ。
　ミッドタウンという場所がら、仕事帰りにふらっと一人で立ち寄る客も多い。栄養が偏りがちな一人暮らしの人や外食が多い人のために、ボリュームたっぷりでバランスの取れた「松花堂弁当（30ドル）」を考案した。
　焼き物、肉、寿司、サラダなどを見栄え良く配置したメニューは、とても豪華。どれから手を付けてよいのか迷うほど、どれも食欲をそそるものばかりだ。
　この日はメーンの牛タンステーキに、鰯の塩焼き、野菜グリル、そらまめとグリーンサラダに寿司５貫と魚のあら汁。素材の良さを最大限に引き立たせるため、味付けはシンプルに。そして何と言っても、〝塩分控えめ〟というところもポイントが高い。大食漢の男性でも、十分に満足できる内容となっている。
　「一人だと、アラカルトメニューをいろいろ注文するわけにはいかないですよね」と渡辺さん。「一度にバラエティー豊かな味が楽しめるということで、駐在員やＯＬの方々にも松花堂弁当は大人気」だという。
　フルバーを備えたカウンターで、うまい酒と共にいただくもよし、さくっと夕飯だけ済ますもよし。「気軽に立ち寄れる店を目指したい」という渡辺さんが大切にするコンセプト通り気兼ねなく通える店は、星の数ほどあるニューヨークの飲食店の中でも、なかなかないのではないだろうか。
　「きょうの〝日替り〟メニューはなんだろう？」―そんな楽しい気持ちで覗きたいおすすめの一店だ。