ニューヨーク市のビル・デ・ブラシオ市長は10年間を目処に、ブルックリン区に中・低所得者向けの住宅を20万戸供給する計画を立てているという。1カ月の家賃は630ドル以下に抑え、中間層については上限を3400ドルにするなど、所得別に家賃規制を設ける見通し。
同区は犯罪率・貧困率ともに高い反面、交通の便もよく、新しく高層アパートを建設する十分な敷地もある。都市計画委員長のカール・ワイスブロード氏は「同計画によりデ・ブラシオ市長が公約として掲げてきた住宅政策の実現に貢献するだろう」と述べた。
デ・ブラシオ市長は市の開発業者に対し、ブルームバーグ前市政のもとでは任意であった、一定割合を低所得者向けの住宅に割り当てる「ゾーニング」を義務化する方針であり、ブルックリン区における同計画が実施された場合、包括的ゾーニングの義務化により高級化の影響を和らげられるという前例となる。
しかし、その一方で開発業者側は同区における住宅の市場価値は建設業者を惹き付けるには至らず、利益に繋がらないと見なしている。
都市計画委員会の事務局長を務めるプアニマ・カプァー氏は、各区の住宅事情にあわせたアプローチを取る方針を示した。
今回の市の計画実施にあたっては、予算の一部は市の財政から支出し、差額については州および連邦政府からの助成金と民間からの出資を充てるとしている。また開発業者へのインセンティブとして税金控除も行う予定。