行き慣れた人にとっては何でもないことだが、初心者にとってはチェルシーのアートギャラリーは敷居が高いと思われがちだという。
「ヘラー・ギャラリー」のオーナー、ダグラス・ヘラーさんは、「入るのに二の足を踏む人は多いだろう」とその入りづらい雰囲気を認め、さらにこれはニューヨークのギャラリー独特だとも説明する。ヘラーさんはニューヨーク市以外のギャリ―を訪れる機会が多く、「どこもフレンドリーに接客してくれる」という。このため、ヘラーさん自身もギャラリーでは必ず接客をして、いつでも値段の問い合わせに応じるようにしていると話した。しかしこれは少数派で、チェルシーの多くのギャラリーではスタッフに値段を聞けるような雰囲気ではなく、たとえ尋ねても「どうせあなたには買えないだろう」という態度で答えが返ってくるのが常だという。
まず、ギャラリー独特のガラスやスチールのモダンな外観とすりガラスのドアは、気軽に入れる雰囲気ではない。そして何より、カウンターの向こうに座り、こちらを見ようともしない受付の女性には怯んでしまう。
だがこうした意見がある一方、「接客することで押しつけがましく思われるのは避けたい」というオーナーや「誰にも邪魔されずゆっくり作品を楽しむことができて好都合」という客側の声もある。