14丁目駅に犬が撃たれる銅像 芸術家非難の目的

地下鉄14丁目駅の駅構内で5日、同駅で名物となっている芸術家トム・オッターネス氏の銅像群に紛れ、ポニーテールの人が犬に銃を向けている新たな銅像が発見された。

L線に繋がる階段脇に置かれた問題の銅像は、ほかのオッターネス氏の銅像にも見られる帽子を被り、札束が入った袋に立っている人を形どったものだが、これはオッターネス氏の作品ではなく、動物虐待問題へのメッセージを表しているものではないかと見られていた。オッターネス氏は1977年に、施設から引き取った犬を射殺する風景を“芸術”としてフィルム化したことがあり、この作品について動物愛護団体から痛烈な非難を受けた後、謝罪している。

しかしこの銅像を作成したというアンドリュー・タイダー氏は、「動物虐待問題を非難するために作ったのではなく、オッターネス氏の『地下での生活』という資本主義社会を批評する作品に対する挑戦状である」としている。

タイダー氏は「人に指をさし資本主義社会を批判する前に、自分もその社会の一員であり、その社会から利益を得ていることを理解しなければいけない」と述べ、オッターネス氏に対し、同氏が非難している資本主義社会という組織の中で自分も働いている人間のひとりだ、ということに気付いてもらうために作成したという。

問題の銅像はニューヨーク州都市交通局(MTA)によって既に撤去されているが、ダイダー氏は「撤去されるのは残念だが、人々が己の行動を見直すきっかけになれば」と話した。