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先日ふとあるポスターを見掛け、目がくぎ付けになってしまった。「bedbugs!!! it’s a musical」。なんだこれ!! 衝撃的で頭にこびり付いて離れないので、意を決して足を運んでみた。
アッパーウェストの小さな地下劇場はほぼすべての席が埋め尽くされている。狭いステージは小汚いベッドや街中のゴミ箱などがセットされ、いかにもやつらが潜んでいそうな場景。あらすじもよく把握しないまま、ミュージカルはスタートした。
舞台はニューヨーク。ベッドバグが大量発生し、多くの人が不安とかゆみのせいで苦しんでいる。中にはバグが原因で死んでしまう人まで!(実際にベッドバグに噛まれて死に至ることはないが)。主人公のカーリーもバグのせいで愛する母親を亡くした一人。バグ報復にすべてをかけ、相棒で弟分のバートと共に害虫駆除業者を立ち上げ、戦いがはじまる…。と、まあストーリーはこんな感じだが、驚いたのはその完成度。段ボールや空き缶で作られた手作り感満載のテレビカメラが出てきたと思えば、歌は圧倒されるような美声だし、またダンスはコミカルな振りながらキレッキレッ。第2部から登場するバグたちも、不気味で気持ちわる〜いのにそれぞれに個性があり、あれれ、なぜかかっこよく見えてしまう。さらにバグのキングときたら、スーパーセクシーでまるでロックスターさながら。ギラギラの衣装を着てナルシスト全開なところもいい味を出している。
物語がすすむうちに人間とベッドバグが愛しあったり、タッグを組んで悪巧みしたり、もうよくわからない。誰も予測できない展開についていくのがちょっと大変で、総体してとてもくだらないが、これぞ何でもアリのニューヨークのエンターテイメントであり、終始全力で演技されるとかえってのめり込んでしまう。また劇中のユーモアも満載で、アメリカ人は体を揺らして大爆笑。日本人のわたしも大声をあげて笑ってしまうほど。
近距離で体験できる躍動感は、オフ・ブロードウェーならではの魅力といえる。
見てるこっちも痒くなるようなミュージカルは、今季絶対におすすめの作品。
【日時】上演中〜10月26日(日)まで
火〜金:8pm〜、土:3pm〜、8pm〜、日:3pm〜、7pm〜
【場所】ArcLight Theatre
152 W 71st St(bet Columbus & Amsterdam Ave)
【料金】25ドル〜89ドル
【Web】www.bedbugsmusical.com
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