マンハッタン区のジャパン・ソサエティ(JS)では9月30日、各地に独特の歴史や文化が根付く日本の魅力を伝える場として始まった「Get to Know Japan(日本を知る)シリーズ」の第1回として、『Get to Know Japan Series ~石川県~ 食と芸術のめぐり会う場所』が開催された。
講演では、マンハッタン区のアメリカンレストラン「ユニオンスクエア・カフェ」のエグゼクティブシェフ兼共同経営者として、同店を3つ星レストランに育て上げたシェフのマイケル・ロマーノ氏と、同県出身の大樋焼の陶芸家・デザイナーであり、日本国内外で芸術指導にあたる大樋年雄氏の二人のゲストスピーカーが加賀百万石の城下町として栄えた石川県の魅力を、プレゼンテーション形式で紹介した。
1983年に初めて石川を訪れて以来、その魅力に深く感銘を受け金沢市を中心に何度も同県を訪れ、石川県食文化大使も務めているというロマーノ氏。金沢市の代表的な日本庭園「兼六園」や伝統産業「加賀友禅」など、地理、歴史、工芸品、建造物、そして食文化の視点からさまざまな魅力をアピールした。
市内随一の本格料亭「銭屋」で自身が食した地元の魚を使った刺身や〝のどぐろ〟の煮付けを写真と共に詳細に説明した際には、会場からため息が漏れるほどであり、参加者たちの日本食への感心の高さがうかがえた。
大樋氏は、地元・金沢の四季折々の景色をたくさんの写真を用いて紹介し、同家の祖先の作品も多く飾る「大樋美術館」や金沢の観光名所として知られている「金沢21世紀美術館」、また茶の心や禅の教えについても触れた。
日本人にとってとても深い意味を持つ「命」という漢字について、「人が〝茶碗〟を持っているさまが、生きる(命がある)ということ」とし、会場に訪れた日本人からも感銘を受けたようすが見られた。
講演後のレセプションでは石川県を代表する7銘柄の日本酒と金沢の郷土料理が振る舞われ、工芸品の販売も行われた。
「宗玄酒造・宗玄」は、濃いめの味付けの加賀料理に負けない強くしっかりとした味わいが米国人参加者からも高い評価を得ていた。またニューヨーク市内の日本食レストランでも馴染みのあるコバルトブルーのボトルの「福光屋・加賀鳶」は、さわやかでフルーティーな口当たりが安定した人気を誇っていた。〝マイおちょこ〟を持参する人も見られ、参加者は酒の肴によく合う郷土料理と共に飲み比べを楽しみ、会場は大いに賑わった。