ニューヨーク市議会公共住宅委員会が14日に発表した報告書によると、市住宅局(NYCHA)が運営する公共住宅での家庭内暴力(DV)が増加しているという。公共住宅で起きたDVの数は、2009年の809件から昨年は1642件へと倍増している。また、同時期の市全体でのDV関連事件数は25%増だった。
市警察(NYPD)によると、市公共住宅では過去5年間に重犯罪が31%増加しているが、DVの増加がその大きな要因と考えられている。この背景には、ビル・デ・ブラシオ市長が、公共住宅入居にあたり、DV被害者よりもホームレスを優先していることがあると指摘されている。
ことし3月の時点で、24万世帯が公共住宅入居待ちリストに名を連ねているが、公共住宅の空室率は1%未満で、受け入れ可能な住宅数は、年間わずか5000戸にすぎないという。だが、市長は向こう3年間、年間750戸にホームレスを優先的に入居させると発表しているため、DV被害者の順番は先送りにされる。これに加え同局は、公共住宅に入居できるDV被害者の資格を厳格化している。
一方、NYCHAは、優先入居資格が得られる罪状の幅を広げ、入居条件を緩和したと主張している。9月29日の時点で、754世帯がDV被害者の優先枠で空室待ち状態だが、04年から待っている人もいるという。