マスクを付けて、怪しげな世界へ 「Sleep no more」

【日時】開催中 ※時間は日程により異なる
【場所】The McKittrick Hotel: 530 W 27th St (bet 10th & 11th Ave)
【料金】100ドル
【Web】www.sleepnomore.com

 「Sleep no more」は、2011年以来人気を博している、イギリスのシアターカンパニー「Punchdrunk」によるショーだ。
 場所は「マッキトリック・ホテル」、チェルシーのアートギャラリーが集まるエリアにある。夜はギャラリーが閉まっているので、劇場の周辺は真っ暗だが、劇場の前に長蛇の列ができているので道に迷うことはない。列に並んでいる参加者は皆、ワクワクしながら、ショーの話をしている。「シェイクスピアのマクベスをオマージュにしているんだ。僕はストーリーを読んできた」と、自信満々で彼女に話す男性や、「キューブリックのアイズ・ワイド・シャットやシャイニングの世界観を体感できる」と言っている肝試し感覚のグループもいた。
 まず中に入ると、コートとバックを預けるように言われる(4ドル)。その先に進むと、古いホテルをイメージしたフロントがあり、ホスト役の妖艶な女性へ自分の名前を告げると、トランプのカードとマスクを渡される。そこから上の階に上がり、自分のトランプの番号を呼ばれるまで、バーで酒を飲みながら待つ。そして、自分の番号を呼ばれたら、マスクを装着しエレベータ—に乗る。すると案内人が「これから先は一切しゃべってはいけない。順路は無いので、自分の行きたい階と連いていくキャストを選んでください。どの人に付いて行くかでストーリーは変わります。このショーの物語を作るのは貴方です」と言い、エレベーターに乗った約20名を半々ずつ、違う階に降ろしていく。

 同建物は、3つの倉庫を改造し作られた6階建てのビル。この広いスペースをひたすら歩いて回るのも、このショーの特徴だ。フロア毎にさまざまな装飾がされ、剥製が置かれた部屋、キャンディーやチョコレートが棚一杯に置かれた部屋、バスタブやベットが沢山置かれた部屋など、どれも異様だ。「アイズー」と「シャイニング」とハンガリー映画「タクシデルミア」などを混ぜこぜにして作られた世界にいるような感じ。怖いもの見たさで、どんどん暗い廊下の先に進んでいく観客。カップルや友達同士で来ていた人も、それぞれのキャスト、階数を選び、一人で行動しているのが見受けられた。それほど、この世界に人々は魅了され、のめり込んでいくのだ。
 2階のバーが“異様なショーへの出入り口”となっていて、バーに戻り、休憩できるのも嬉しい。30分毎に新たな観客がショーの中へ入ってくるので、後半にはどんどん人が増えて、キャストの周りには人だかりが出来ている。しかし、キャストのいないフロアや部屋は、自分一人になることもあるので、怖さを感じることもある。また、仮面をつけた参加者が通路から急に出てきたりするので、“観客同士で驚く”場面も多々。ハロウィンシーズン、出掛けてみてはいかがだろうか。最後に、絶対に歩きやすい靴を履いていくことをおすすめする。