第52回 Spiegle（スピーグル）

10/29/2014

イーストビレッジのマイスペース

ハーブやレモンが香る「Pan Seared Tilapia」

　気軽に入れるレストラン探しには事足りているイーストビレッジで、既に行きつけの店がある人にも、流れに任せていろいろ試す人にもおすすめしたいのが、「Spiegle」。ガラス張りの壁に照明がやさしく光り、暖かい雰囲気を放っている。松を基調とした店内には一人客も多く、正に自分の部屋のようにくつろげる空間だ。
　さまざまな国の文化に触れて育ったというオーナーシェフは、その豊かな発想から地中海料理を中心に多様な食文化を取り入れて、独自のスタイルを確立している。野菜をふんだんに使ったメニューが特徴で、凝りすぎていないカジュアルな食事が楽しめる。
　アペタイザーには新鮮野菜のサラダや創作料理が並び、サーモンとクリームチーズを使った「Stuffed Mushroom（８ドル）」は、噛むとマッシュルームとサーモンの上品な香りが広がり、スモーキーなソースも相まってビールやワインがすすむ。最近野菜を食べていない人には、９種類の具材が入った「Kale Salad（10ドル）」がおすすめ。栄養満点だが苦みのあるケールには、ザクロとビネガーの特製ソースを和えて爽やかにいただく。
　メーンディッシュはサイドのチョイスにもこだわった、どれも満足感のある内容だが、初めて訪れるなら、ぜひ同店自慢の魚料理を試していただきたい。「Grilled Salmon（18ドル）」やスペシャルメニューの「Pan Seared Tilapia（16ドル）」は、オリーブオイルや塩コショウ、少量のハーブといったシンプルな味付けで、飽きることなくまた食べたいと思わせる。そして最後にはデザート。最近はニューヨークでも〝甘過ぎない〟スイーツが浸透してきたのか、メーンディッシュの後でも重くない品が並ぶ。
　また、同店では午前７時から午後１時までブレックファストメニューを提供、毎日焼きたてのパンやクッキーも販売しており、朝から晩までいつでも立ち寄れる店だ。