マンハッタン区ロウアーイーストサイドの博物館で、ちょっと変わった英語のクラスが開催されている。移民の歴史を展示するテネメント・ミュージアムでは、他国から米国に来て間もない移民を中心に、博物館の展示品となっている、大昔実際に移民が暮らしていた部屋を使い英語を教授する。
「シェアド・ジャーニーズ」と呼ばれる同ワークショップでは、参加者にその部屋での暮らしを想像させ、当時のアイルランド、イタリア、ユダヤ、ドイツ人移民の生活を実感し、自分たちの経験と比較させる。当時の移民になりきり衣装を身に付けた解説者が参加者を案内し、ディスカッションも行われる。
各参加者の英語力に応じてクラス分けされるが、「現在の移民と過去の移民をつなぐ」という博物館の使命に最も重点が置かれている。これまでクラスは成人のみだったが、最近、中学生および高校生も成人クラスに参加できるようになった。
博物館は1年に150回のワークショップを開催し、年間約1700人が参加するという。同博物館は、修復された4階建ての賃貸アパートビルで、1863年から1935年の間に7000人の労働者階級の移民が暮らしていた。
現存しているアパートの内、7室が修復され、残りの3室は意図的に、同ビルが使用禁止となった1935年のまま保存されている。