犯罪多発地域での警官数激減 住民ら、犯罪発生に懸念 

 ブルックリン区ベッドフォード・ストイベサントで昨年12月20日、ニューヨーク市警察(NYPD)の警官2人が射殺される事件が起きて以来、犯罪多発地域で巡回にあたる警官の数が激減しているという。
 事件現場からわずか1ブロックの距離にある市営住宅群マーシーハウズは、住人の多くが黒人またはヒスパニックで、犯罪組織による暴力事件や麻薬関係の犯罪が多発する地域として知られているが、NYPDが「軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できる」とする「割れ窓理論」を採用して以降、警官が常時巡回にあたり、犯罪発生件数は減少していた。しかし現在、犯罪多発地域の住民の間では、警官不在による犯罪の発生が懸念されている。
 記録によると、検挙件数および裁判所召喚状発行数も急落しているといい、同住宅群を管轄する第79分署では、同事件後の1週間、昨年同時期に401通発行された裁判所への召喚状が1通も発行されておらず、先々週は、前年同時期の405通から遥かに少ない10通だけだった。
 これは、同事件直後にビル・デ・ブラシオ市長が警察を非難するような発言をしたことで、NYPDの労働組合との間に亀裂が広がったためであり、警官による抗議行動を目的とした職務放棄ではとの声も聞かれる。