米国へ移民した家族にとって、子どもたちが医者や弁護士となることは成功を意味すると長年いわれてきた。しかしその移民2世たちが惹きつけられ次々成功を収めている新たな職業があるという。それは、フードカートや新商品開発などの“食品ビジネス”だ。
米紙デイリーニュースによると、クイーンズ区リッチモンドヒルで育ったパトリック・オロペザさん(32)が広告業界の仕事を辞め、ボリビア式肉入りパイ「サルテーニャス」の販売をストリートフェアなどで始めた3年前、ボリビア移民である両親には「体を動かす仕事ではなく頭を使う仕事に就くべきだ」といわれた。しかし、パトリックさんが他の兄弟2人と共同経営するボリビアン・ラマ・パーティ社のサルテーニャスは、市内のナイトクラブなどからも注文を受けるほどの人気があり、かれらはメディアでも多く取り上げられている。
米専門食品組合のアン・ドウ氏によれば、同組合への加入申し込みは過去5年で約2倍に増えており、フードカート事業などへの転職者は増加傾向にあると指摘する。その理由として同氏は「比較的低い予算で参入できる」、「経営者となることで自分の人生を自分でコントロールできる」などがあるのではないかと推測する。
イラン系移民のホマ・ダシュタキさん(35)は、以前は弁護士であったが6年前に解雇されたことをきっかけに、グルメヨーグルトを開発しホワイト・マスタッシュ社を創業した。同社のヨーグルトはヴォーグ誌に掲載され、販売の引き合いが続いている。ダシュタキさんは今の仕事について「弁護士をしていた時よりずっと達成感がある」と語っている。