NYの空気で脳卒中に? 心血管疾患リスクも増大

昨年4月発表の大気汚染調査「State of the Air 2014」でニューヨーク市は最低レベル「F」の判定を受けている


 ニューヨーク大学(NYU)医学部がこのほど行った研究によると、ニューヨークの大気を吸うと、脳卒中の危険性が高まるという。
 同研究では、300人の地域住民をそれぞれの居住地の郵便番号別に分け、環境保護庁が2003年〜08年の間に収集した大気質測定を基に、大気汚染度の格付けをした。これにより、大気汚染度がもっとも高い地域に住む住人は、他の地域の住人よりも動脈狭窄(きょうさく)を起こす危険度が24%増加していることが明らかになった。
 同研究では、自動車の排ガス、石炭や木材を燃やした際に発生しやすい微粒子物質に重点を置き、既に頸(けい)動脈疾患と診断された患者は調査の対象から除外し、年齢、人口動態、病歴、平均世帯収入などにより調整を加えている。
 NYUランゴン医療センターの心臓専門医ジョナサン・ニューマン氏によると、「市の大気を吸い込むだけで、動脈狭窄を起こし脳卒中につながる危険性が増す」といい、大気汚染は心血管疾患を引き起こす重大な危険因子であるという。また、心血管系リスクは遺伝子や健康への関心、生活習慣のみならず、住んでいる場所やその大気の質にも関係があるという。
 屋内および屋外の空気汚染は、世界で年間約800万人の呼吸器系疾患やその他の疾患による死に関連しているという。