昨年秋に超高級和食料理店として有名な「Masa」の高山雅氏と著名なアート・ディーラーであるラリー・ガゴシアン氏が協同で「Kappo Masa」をガゴシアン・アート・ギャラリーにオープンし、世界的な美食の街ニューヨークのグルメ界を騒がせている。
82席の同店では、巻き寿司が240ドル、牛のタタキは150ドルするが、ガゴシアン氏の友人らがこの店を暇にさせることはなく、市にある“大きなお財布”のひもをゆるめっぱなしにさせているという。
デザイナーのヴェラ・ウォンさんは、既にオープンしてから40回はこの店に行き、俳優のジョージ・クルーニーさんも3回訪れ、そのうち1回は新妻のアマルさんをエスコートしていた、などセレブの目撃情報は後を絶たないが、同時に主にインターネット上で、今期オープンした店でもっともがっかりした店にもランクインした。タイムズ紙も「値段と価値が見合わない」と酷評しており、よくない理由としては「異常に高い」ということのようだ。
それを「中流階級以下のねたみ」と過激に反撃してくる“セレブ批評家”もいるようだが、イェルプ(Yelp)などで誰でも簡単に批評家になれ、ネガティブなコメントを世間に流すことができるこの時代、だめな理由が味ではなく、値段なのだから嫌われる理由は明確だ。
「Masa」は、税抜きでチップを含まなくても平均単価は600ドル。酒代などすべてを入れると1000ドルになるというニュースが、味の批評より先にニューヨークを駆け回ったことは記憶に新しい。同店はそれゆえに、“味の違いの分かる舌はもっていないが、金ならもっている人が行く店”というレッテルを張られたが、いまのところ客に困ってはいないようだ。実際、プレゼンテーションは素晴らしいという声は多い。
「Kappo Masa」は、その上をいく値段設定とも言われ、うなぎのぼりになる値段に比例して、本当の人気も上げることができるか。究極のところ、レストランの神髄はおいしい料理を提供することなのだから、ニューヨーカーたちがどう判断し議論するのか、今後も要注目だ。