ファッションライターあやこんぶの“おしゃクロ!” Vol.1 ジーンズに新世紀到来?

 ジーンズはアメリカの象徴。歴史をさかのぼれば、アメリカ開拓者のワークウエアに始まり、60年代にジェームズ・ディーンが愛したリー、70年代後半にブルック・シールズがセクシーに着こなしたタイトなカルバン・クライン、2000年代にはプレミアム・デニムという高価でディテールにこだわったジーンズが登場。多くのジーンズメーカーは岡山県児島にある日本製デニムを使い、ジーンズ・フリークの聖地となっているのも興味深い。
 ここ5年ほど、ジーンズ業界のなかではロー(raw:色落ちやダメージを加えていない生の状態のデニムを使ったジーンズ)が断然アツかった。特に男性のスタイルにそれは顕著で、セルビッジを見せるかのように裾をロールアップして履くのが、オシャレ・ピープルのこだわり。今ではロー・ジーンズはオフィス環境にも対応している。
 ブレザーを羽織ってボトムスにロー・ジーンズであったら、くだけ過ぎた印象は与えない。かつてはドレスコードのあるニューヨークの高級店でのジーンズの入店は不可であったが、ダークカラーの色落ちやダメージのないジーンズは可能になっているという。
 ラルフ・ローレン氏がレッドカーペットのブラックタイ着用のフォーマルなイベントでタキシードジャケットの下にジーンズを履いて現れた時はセンセーショナルなニュースだった。しかし、そのロー・ジーンズの波も落ち着き、現在は再びダメージ・ジーンズが市場に出回り始めた。
1本1000ドル越えのジーンズも揃えるブランド、PRPSのドンワン・ハレル氏いわく「現在アメリカに住む男性は平均7本のジーンズを持っているようです。バーグドルフ・グッドマンやニーマン・マーカス、ブルーミングデールズ、サックス・フィフス・アベニューなど大型店からは一度に様々なスタイルのオーダーが入ります。白、濃紺、黒、ブルー、ダメージの入ったもの、カラージーンズ。私のブランドに関して言えば色落ちやダメージが顕著であればあるほど高くても売れる傾向があります」という。クローゼットに眠りつつあったダメージジーンズを引っ張りだす時も間近か?

Photo: Shinji Murakami

Photo: Shinji Murakami


PRPSオーナー/デザイナーのドンワン・ハレル氏。Nikeのデザイナーとして各国のユニフォーム・デザインを担当。2002年にPRPSを設立し、最近ではLeeの125周年記念ラインのデザイナーとして選ばれ、全コレクションを手がけた。

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フリー・ジャーナリスト
Aya Komboo
www.ayakomboo.com
日本では数々の出版社で経験を積み、フリーランスへ転身。2006年よりロサンゼルスへ渡米し、現在はニューヨークを拠点にファッション/カルチャー誌などで活躍している。