Dr. 石谷三佳 なるほど!ザ・カイロ VOL.51 膝の痛み―膝蓋軟骨軟化症(しつがいなんこつなんかしょう)とは:特徴と原因

膝の痛み―膝蓋軟骨軟化症(しつがいなんこつなんかしょう)とは:特徴と原因

当院に治療に来られる方で意外と多い症状の一つは膝の痛みです。その中でも膝蓋軟骨軟化症は、ただ普通に生活しているだけなのにだんだん膝が痛くなってきて、最初はいつもより少し多く歩いたら痛かった程度なのに、そのうち治ると思い放っておくうちに、階段を上るたびにズキっと痛みが出るようになり、末は普通に歩くだけでも痛くなるという症状です。また春になり、まったく運動をしていなかった人が突然ジョギングやテニスなどの振動を伴う運動をはじめたりしても、この症状が起りやすいのが特徴です。
まずはご自身で膝蓋軟骨軟化症になる気配があるか調べてみましょう。仰向けで膝を曲げるか、または少し高めの椅子に座り、膝の曲げ伸ばしをします。その時に膝の周りからクリクリ、またはグシュグシュという様な音が聞こえますか? もし聞こえたらこれは膝蓋軟骨軟化症の症候群です。
では一体、膝蓋軟骨軟化症とは何なのでしょうか? これは膝蓋骨(ひざの皿)の裏側の軟骨が、大腿骨(太ももの骨)とこすれてすり減り、炎症を起こして軟らかくなったり、膨らんだり、亀裂が入ったりと、軟骨の変形を生じるのが膝蓋軟骨軟化症です。主な原因は体重による負荷や外部からの衝撃によって膝蓋骨と大腿骨がこすれ合い、その摩擦によって軟骨がすり減っていくことです。スポーツが良いと思って毎日運動しても、逆に膝を酷使することで症状が発生しやすく、膝を痛める結果になってしまいます。ジャンプの繰り返しやランニングなどは膝蓋軟骨に大きな負荷がかかるため、長距離ランナーやジャンプ系のスポーツ選手に多く見られます。また、太ももの筋肉など膝周辺の筋力不足や運動前のウォームアップ不足、ストレッチ不足によっても傷みやすくなります。さらに確実に膝を痛める要因は膝を強打するような外傷です。事故やけがが原因で関節軟骨が傷つくケースのほか、膝蓋骨が脱臼(だっきゅう)してズレている状態も軟骨のすり減りを促進します。
上記の要因に見覚えがなくても、膝の関節のズレや骨の形の変形や老化により引き起こされることもあります。「X脚(内股)またはO脚である」「膝蓋骨の形が悪い」「膝蓋骨が通常よりも高い、または低い位置にある」などの要因が、膝蓋骨への負担を増大させ摩耗を早めます。こうした異常は、生まれつき見られる「先天性」のものと、生活習慣などによって後から発生する「後天性」のものがあります。さらにつま先が内側を向いた状態で地面を蹴る、ハイヒールを履いて膝が曲がった状態で歩くなど〝不自然な歩き方〟も大きな要因の一つとなるので気をつけましょう。

Dr. 石谷三佳
石谷カイロプラクティッククリニック院長。パーマーカイロプラクティック大学院卒後、ハーバード大学医学部専門課程終了。米国、米国小児、ニュージャージー、日本カイロプラクティック協会会員も務め、2008年には「Chiropractor of the Year」を受賞。寄稿著者に“Neck Pain…
You Don’t Want It, You Don’t Need It”がある。

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