TAX SPECIALIST羽山 徹の税金をはじめとしたお金の話あれこれ Vol.8 会社員並びに個人の事業主が利用できる 「退職後用積立口座(Retirement Plan)」パート④

問12:どれだけ収入が多いと、Roth IRAに積立ができなくなるのですか?

解答:2014年度の確定申告書で計算された「総収入」が、独身者の場合、11万4000ドル以下であれば、年間最大額まで積立をすることができますが、12万9000ドルを超えると、積立が全くできなくなります。夫婦合算申告の場合は、18万1000ドル以下ならば最大まで積立が可能ですが、逆に19万1000ドル超だとまったく積立ができません。

問13:その他の特徴並びに相違点はありますか?

解答:T―IRA口座には、「Required Minimum Distribution:RMD」というルールがあります。これは、口座の所有者が70・5歳になったら、それ以降は引き出す必要がなくても、口座から毎年、最低額またはそれ以上の金額を強制的に引き出さなければならない、というものです。つまり、仮に70・5歳を超えて働いていて給与収入があっても、もはやT―IRA口座には積立はできなくなり、逆に引き出しを開始しなければなりません。

問14:RMD額は自分で計算して引き出さなければならないのですか?

解答:口座を管理運営している金融機関(証券会社、生命保険会社、銀行など)が、年度末の口座残高を基準に計算して、70・5歳を超えた各口座の所有者に通知してくれます。その最低額を通知を受け取った年の12月31日までに引き出すようにします。

問15:このRMDのルールはRothIRAには適用されないのですか?

解答:その通り、Roth IRAにはこのルールは適用されません。従って、70・5歳を超えて給与収入があり、総収入が制限範囲内であれば、RothIRA口座に継続して積立ができます。尚、RMDは、T―IRAの他に、401(k)口座、S/E SEP IRAにも適用されます。

問16:T―IRA口座を複数持っている場合は、それぞれの口座からRMD額以上を毎年引き出さなければならないのですか?

解答:仮に2つのT―IRA口座を所有して、T―IRA口座①とT―IRA口座②のRMD額がそれぞれ1万ドルと5000ドルとします。RMDの引き出しの選択としてまず、それぞれの口座からRMD額を引き出す方法。または、どちらか一方の口座(例えばT―IRA①)から2つのRMDを合計した額(1万5000ドル)を引き出す方法、この内どちらかを選択することができます。次号に続く。


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羽山 徹
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