Dr.高田洋平 Dr.高田、宮崎プロのFunctional Golf 足・足首について

足・足首について

 今年の冬は寒かったですね。例年は、冬の間も比較的暖かい日があればニューヨークでもゴルフを楽しめるのですが、今年は寒すぎて練習場にすら行きませんでした。やっと先週から春の兆しが見えてきて、あと2週間もすれば雪が溶け、ゴルフができる! と願っている今日この頃です。通常、同コラムは私フィジカル・セラピストの高田洋平と、ゴルフトレーナーの宮崎太輝プロと執筆していますが、今回は私高田が足・足首についてお話します。
 先日、テレビ中継でアダム・スコット氏が、極端なつま先上がりのライから素晴らしいショットを打っているところを観ました。見た感じ8割ぐらいの力のスイングでしょうか?
 フラットなライと変わらない身体の使い方でスムーズにスイングするのには驚きました。このようなつま先上がりでライの悪い状況でもスムーズに振るために大切なのが足・足首の柔軟性です。足・足首というのは、本来手・手首と同じように柔軟性に非常に富んだ関節です。我々二足歩行を行う人間は、その柔軟性で様々な地形や傾斜に対応し、体幹のバランスを保てるよう進化してきたのです。しかし、残念ながら現代人の多くがその本来の柔軟性を失っています。その理由としては、靴社会、コンクリートなどの舗装された道路の上を歩く、胎児のサイズの変化、ハイヒール(最近は運動靴でもヒールを高く作るデザインが多い)、幼少期の運動不足など、ここでは詳しく書きませんが色々とあると思います。
 では足首が硬いとどのようなスイングの問題が出てくるのでしょうか? スイング中に姿勢が崩れる、傾斜で上手く打てないなどの問題が起きやすくなります。例えば、練習場ではスムーズに振れているのにゴルフ場では極端に不自然なスイングになる、つま先上がりのライが苦手で手打ちになってしまうと悩んでいる方はこの足首の硬さに問題があるのかもしれません。
 次のテストをしてみてください。自分の足のサイズの半分壁から離れ(足の長さが28センチの方は14センチ離れる)、壁に向かい合います(図1)。

図1


その時、足の中指がまっすぐ向くように少し内股に立ちましょう。そのまま、かかとを浮かさず、膝を中指の方向に真っ直ぐ壁に近づけていきます(図2)。

図2


かかとが浮かず、膝が内側に折れずに壁につけばあなたの足首は十分な柔軟性があるといえるでしょう。しかし、膝が壁につかない場合あなたの足首の柔軟性に問題があるといえます。
 ではどうしたら良いか? まず足首の硬い理由として二つ挙げられます。一つ目、関節の硬直。二つ目、筋肉の硬直。もし上のテストで足首の前に詰まった感じの痛みが走る場合、一つ目の関節の硬直が考えられます。この場合は、無理に自分でストレッチなどをすると関節を痛める可能性がります。その場合は、私のようなマニュアルセラピストに関節の可動域を広げてもらう必要がありますので、ここではその対処方法は書きません。
 もし、このテスト中にふくらはぎにストレッチを感じ、筋肉が邪魔をして膝が前に行かない場合、以下のエクササイズを行ってみてください。
 まず、ふくらはぎの筋肉をほぐすのが大切です。図3のようにフォームローラー、またはソフトボールなどを使って硬い筋肉をほぐしていきましょう。ゆっくりと小刻みに硬い場所を重点的に3分ぐらいほぐしてあげた後、ストレッチをします。ストレッチする足を前にして片膝立ちになります。膝をできるだけ足の小指に向かって押してあげましょう。5秒ぐらいストレッチをした後元に戻し、これを20回ほど繰り返していきます(図4)。これを繰り返すことで徐々に足首の可動域が広がっていきます。

図3


図4


 足首の柔軟性不足はゴルフスイングに影響を及ぼしすます。さらには、怪我にも深く関わってきます。もし上のテストで足首が硬かった場合、膝、股関節、そして腰のけがを引き起こすことが多いです。
 シーズン前に足・足首の柔軟性を向上させ、けがのない楽しいゴルフシーズンを送ってください。
 
 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


Biography 高田洋平
DPT, CFMT, OCS, SCS, CAOPT,ゴルフを中心としたスポーツリハビリを学びたいと渡米。コロンビア大学でDoctor of Physical Therapy(理学療法学•博士号)を取得。現在Func-Phsyotherapyのオーナー。 ゴルフリハビリの資格:TPI(Titleist Performance Institute) Medical Profession‐Level Ⅲ。
USGA Handicap: +0.3
連絡先/yt@funcphysio.com
TEL (347)-497-0500

 


Biography 宮崎 太輝
NY市立大学大学院で Exercise Science & Rehabilitationを専攻し、効率よく新しい身体の動きの習得を促すために運動学習を研究。東京でプロやインストラクター、トレーナーに向けてゴルフスイングや指導法の講習を行った経験を持つ。現在はMosholu Golf CourseとWestchester Driving Rangeにてレッスン活動を行う。
連絡先/taikim@motorlearningolf.nyc
TEL (516)-467-6699