同時多発テロ犠牲者補償基金は8日、補償認定を受けた申請者への補償金額が10億ドル(およそ1202億円)を超えたと発表した。
米連邦議会は2011年11月、同時多発テロにより崩壊した国際貿易ビル跡地、ハイジャックされた旅客機が墜落したために崩壊したペンタゴンの建物、ペンシルバニア州シャンクスビルで救出作業やがれき処理にあたり健康を害した作業員らへの補償を目的とした28億ドルの基金を設立した。
基金は当初、3万4000件の申し立てに対応する計画だったが、これまでに1万549人しか認定を受けていない。3月31日の時点で、補償金請求手続きが完了したのは7225人。これまでに支払われた補償金の内92%が第一対応者へのもので、27%はがん発症者へのものだった。
補償金額は、各申請者の経済的損失や身体的ないし精神的苦痛の度合いにより算出され、年金やその他の障害者給付金を差し引いたもの。補償金額の平均は24万1000ドルで、これまでの最低額は1万ドル、また、最高額は410万ドルだった。補償金の請求期限は、16年10月3日まで。これまでに約6万5000人が同制度に登録しているが、その大多数がまだ請求を行っていない。
将来的には基金不足が予想されており、申請者を代理する弁護士は、「健康被害を訴える新たな依頼は後を絶たないが、申請者が2万人を超えると基金は足りなくなる」と危惧している。