ニューヨーク市行政局によると、同市警察庁(NYPD)の採用試験出願者の昨年度の数は1万2286人で、2013年度の1万4953人から17.8%減少したことが明らかになった。
ある専門家は、武器を所持していない黒人男性を警官が死亡させる事件がニューヨークを含めた全米で相次ぎ、警察官に対する批判が高まっていることが背景にあると分析している。これについて、犯罪法学専門大学、ジョン・ジェイ・カレッジで教えるユージーン・オドンネル氏は「一連の事件は全国で警察が日々扱う事件の数から見ればほんのわずかだが、その影響は計り知れないものだった。NYPDが関係しない事件であっても批判の矛先が向けられる場合が多く、結果的に志願者の減少につながった」と指摘する。
警官を志望する人の数が減少している一方で、来年度NYPDでは1000人の増員が必要だとされており、警察に対する市民意識の改善は急務だ。同市議会公安委員会の議長を務めるバネッサ・ギブソン議員は「割れ窓理論や軽微な犯罪で若者を逮捕するといった、低所得者やマイノリティの人口が多い地域で警察が行なってきた過剰な取り締まりを見直す」とする市の方針を明らかにしており、警察に対する市民のネガティブな感情を変えることから、志願者増加へつなげたいとしている。