ニューヨーク市警察(NYPD)ビル・ブラットン本部長は4月30日、軽微な犯罪も徹底的に取り締まることで凶悪犯罪を含めた犯罪を抑止できるとする「割れ窓理論」への批判を緩和する報告書を発表したと米各メディアが伝えた。
42ページに及ぶ同報告書は、割れ窓理論とニューヨーク市の軽犯罪取締りについて記されており、1994年~2014年に記録された、立ち小便やキセル乗車、公共の場での飲酒などの軽犯罪による逮捕または召喚状発行を分析したもの。
軽犯罪違反の取り締まりは、黒人やヒスパニック系に犯罪歴を負わせるための差別行為だとの批判に対し、軽犯罪法違反逮捕者の内、懲役刑に処されたのはわずか9%で、罰金は12%。一方、約71%が不起訴または裁判所監視処分となっていると主張した。
市議会では特定の軽犯罪を処罰対象外にするべきとの声が上がっているが、ブラットン本部長は、「現在のニューヨーク市は、今まで以上に軽犯罪の取り締まりが必要となっている」と訴えた。
また、70年~80年代の治安の悪さを挙げ、割れ窓理論採用以降、市では犯罪が減少していると主張した。軽犯罪による逮捕件数は、94年の60万件から昨年は39万件に減少している。
数百人の警察幹部や警察署長らを前にブラットン本部長は、同理論の採用は続けるが、逮捕に至る前に書面による警告を発行するなど、手続き方法を改正することを考慮していると示唆した。