ジャパン・ソサエティー(JS)は7日、パネルディスカッション「翻訳の魅力:村上春樹から若手作品まで」を開催した。
「ノルウェイの森」「IQ84」な
ど数々のベストセラーを生み出してきた世界的小説家・村上春樹氏の作品英訳の第一人者ジェイ・ルービン氏と、最新英訳書籍「The Strange Library(邦題:不思議な図書館)」の翻訳者、テッド・グーセン氏らが村上文学が米国で人気を集める理由や最近の日本文学の翻訳活動の裏側について語った。また、日本から同講演会に参加した若手作家松田青子氏、イギリスを拠点に活動をする絵本作家きたむらさとし氏、元東京大学教授で翻訳家の柴田元幸氏も参加し、翻訳者・原作者の両方面から翻訳作品作りについて語った。
日本人3名共に、作品のイメージをできるだけ壊さないように、翻訳をするにあたり何度も何度も作品を読み返すという。また、翻訳も行い絵本作家でもあるきたむら氏の数々の作品を見ながら、絵画と文章が制作されていく過程を知り興味深くうなずく参加者の姿も見られた。また、柴田氏は「イラストがあることで、その物語の世界観がより伝わる」と述べた。
参加したニューヨーク在住の日本人女性は、「ルービン氏を始め他の翻訳家の方も言っていたが、『翻訳家の役割は原文から最大限の喜びを取り出して読者と分かち合うこと。そのプロセスはとても主観的だが、それにより何千何万の読者にその世界を伝えることができる』という言葉が印象的で、翻訳家に対するイメージが変わった」と感想を述べた。