米国連邦政府が決定した青唐辛子の輸入禁止処置が、レストラン業界での唐辛子不足を招いており、特にこの唐辛子を多く使うインド料理店の間で波紋が広がっている。
米国連邦政府は3月、害虫のミバエによる被害を受けたドミニカ共和国産の青唐辛子に対して輸入禁止令を発表したが、これを受けて多くの料理に青唐辛子を使用するインド料理店が代わりとなる唐辛子探しに奮闘している。輸入禁止令が発表されて以降、1パウンド1ドルだった青唐辛子はいまや15ドルにまで高騰している。多くのシェフは青唐辛子より安価で手に入るハラペーニョやハバネロなどを代わりに調理しているが、客からは「料理にスパイスの辛さが欠けている」との苦情が寄せられているという。唐辛子の辛さを計るスコヴィル値もその差を表しており、青唐辛子が2万から5万スコヴィルに達する一方、ハラペーニョの辛味は5000スコヴィルほどだという。
ニューヨークにインド料理店を数店舗持ち、自身の店がミシュランの星を獲得したこともあるという、インド料理店のオーナーを務めるヘマント・マサーシェフはデイリー・ニュースの取材に対して「ハラペーニョやハバネロにはほのかな甘みがあり、口に入れた瞬間、鋭い辛味が広がる青唐辛子とは風味がまったく違う」としているが、「青唐辛子不足が続く今、別の唐辛子でも本来の味を出せるよう試行を重ねている」と話している。