ニューヨークの家庭裁判所は、子どもの親権から養子まで、家族に関するさまざまなケースを扱っています。今回はその中でも親権と面接交渉権、養育費、接近禁止令の手続きと進行について簡単にご説明します。なお、離婚については家庭裁判所ではなく、各地区のSupreme Courtの管轄となります。
親権と面接交渉権
別居中の一方の親が子どもの親権を取りたい場合は、各裁判所の1階にあるPetitionの窓口に行き親権(Custody)申請の書類を作成して貰います。親権は、親だけでなく祖父母や他の親類などによる申請も可能ですが、面接交渉権は基本的には子どもの親にしか認められていません。書類はもう一方の親(親以外の申請の場合は、子どもの両親)に届ける必要があります(※書類の送達の詳細は裁判所にお尋ね下さい)。
親権・面接交渉権のヒアリング
申請と同時に出廷の日が決まり、当日は子どもの両親(あるいは関係者全員)が出席する必要があります。当事者同士が同意する場合は、正式なヒアリングを行う必要は無く、同意案に沿って裁判所の命令が出されます。しかし同意ができない場合は、後日正式なヒアリングの日が設定され、そちらで争うことになります。親権の基準は「Best interest of the child」で必ずしも母親が強い訳ではありませんが、いつも子どもの世話をしていることが一つの決め手となります。一般的には、子どもは一方の親と住み、もう一方の親に面接交渉権が付きます。
養育費
養育費の申請については親権と同様、各家庭裁判所のPetitionの窓口で申請を行い、書類はもう一方の親(親以外の申請の場合は、子どもの両親)に届ける必要があります。申請と同時に出廷の日が決まります。
養育費のヒアリング
親権と同様、出廷日には子どもの両親(あるいは関係者全員)の出席が必要。養育費については算定評があり、通常は親権を持たない親の前年度の収入によって決定されますが、特別の事情がある場合はそちらも考慮されます。出廷の日には前年度のタックスリターンや給与明細の他、裁判所からもらうFinancial Disclosure Statementを記入して持参します。
接近禁止令(Order of Protection)
家庭裁判所では夫婦間あるいは元の夫婦間、恋人同士、あるいは子どもがいる関係においてのみ接近禁止令の申請が可能です。他の第三者に関しては、刑事裁判所の管轄となります。申請は既出の件と同様ですが、裁判官がまず訴えの内容を確認する必要があります。
接近禁止令のヒアリング
ヒアリングには当事者双方の主席が必要です。もし申請者が加害者に会いたくない場合は、それまで別の場所で待つこともできます。加害者が同意する場合はヒアリングを行わずに、同意による接近禁止令が出されますが、同意が無い場合は正式なヒアリングが設定されます。申請側は、訴えの証拠となる写真やメール、また証人を用意し、また加害者に対する質問事項を準備する必要があります。
※詳細は各地区の家庭裁判所にお問い合わせ下さい。
今月のお店
Mille-Feuille Bakery Cafe
●552 LaGuardia Place
グリニッジビレッジのフレンチベーカリー。店名のミルフィーユの他、クロワッサンやマカロンなどお菓子の種類も豊富。
飯島真由美 弁護士事務所
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NY州認定弁護士。法政大学文学部、NY市立大学ロースクール卒業。みずほ銀行コンプライアンス部門を経て独立。2010年に飯島真由美弁護士事務所を設立。家庭法、訴訟法、移民法など幅広い分野で活躍中。趣味はカフェ巡り。