ゴールドマンサックスやJPモルガン・チェイスなどウォール街の大手金融機関が支持する新通信事業者、「シンフォニー・コミュニケーション・サービシズ」のシステムが金融捜査の妨害となる可能性に、ニューヨーク州金融監督局(DFS)が懸念を示している。
2010年以降世界13の大手銀行は、オンラインチャットでのトレーダー間の不正な情報交換の記録を重要な証拠に金利の不正操作や通貨操作が発覚し、740億ドル以上の制裁金を支払っている。最先端の通信システムで優れたデータ管理機能を提供している同社は顧客に、チャットやEメール、その他のデータを社外でなく各社の社内サーバーで保存するよう義務付けているため、捜査の手が及んでも記録は各社のみが所有していることになる。
同社は顧客のデータを暗号化して「ザ・クラウド」に保存し、顧客がデータをダウンロードし暗号化キーで解読したあとは、同社が保管するデータを削除する仕組みになっており、捜査当局がデータを調査するためにも各社からの暗号化キーが必要となる。また同システムは、チャットルームを常時監視し、不祥事が疑われる場合は即時にチャットを終了させる機能も備えている。
同システムによる捜査妨害を懸念するDFSのアンソニー・アルバニーズ局長代理は、同社宛てに詳細情報の提供を求める文書を送付している。