米国労働省は従業員が効率よく仕事ができるよう、適切なツールと労働環境が必要だと勧告しています。同様に、障害者のために職場の調整を図り、設備などを整え、生産性を最大化できるよう便宜を図る必要があるとも述べています。
米国障害者法(ADA)は、障害をもつ従業員と求職者のために、合理的配慮を提供し、雇用におけるすべての面において障害者に対する差別を禁止しています。法律では、15人以上の従業員をもつ雇用者に適用されます。
障害における定義は幅広いです。障害とは、個人の主たる生活活動のひとつ、あるいは複数について、著しく制限する身体的又は精神的な障害がある、そのような障害を持っていたという経歴がある、またはそのような障害を持っていると見なされることを言います。
ADAは雇用において、次の3つの「合理的配慮」を促しています。
1採用プロセスによる配慮。
2職務に伴う本質的な機能を遂行する配慮。
3均等な利益および特典の享受に関する配慮。
「合理的配慮」とは、雇用者が障害者のために職場を調整し労働環境を整え、平等な雇用機会を与えることです。障害を持つ求職者または従業員のために合理的配慮を提供する義務は、ADAの雇用規定において差別をなくすための一つの鍵となっています。
「障害者差別」とは、障害者であるがために、雇用者から雇用において健常者と異なる待遇を受けることを言います。障害者差別の例として、精神や身体の障害のために嫌がらせを受けるということがあります。障害を持っている人や、過去に障害を持っていたことがある求職者、または従業員に嫌がらせをすることは違法行為です。
「ハラスメント」とは、従業員が好ましくない不快な労働環境で働かされていたり、解雇や降職などの不利な決定を受けたとき、違法とみなされます。ハラスメントを引き起こす加害者は、被害者の監督者や、他の勤務先での監督者、同僚、または顧客や取引先など、雇用者の従業員ではない場合も含まれます。
米国の連邦最高裁判所は、雇用者は監督者などによる不法なハラスメントによる代理責任の対象であることを明確にしました。これらに記載された責任標準は、2つの原則を前提としています。
1雇用者は、監督者の行動に責任がある。
2雇用者は、ハラスメントを防ぐことを奨励すべきであり、ハラスメントによる被害を最小限にし、回避させること。
これらの原則を適応させるため、裁判所は、監督者によるハラスメントは雇用者が常に責任を負うことを判示しました。また、雇用者は差別を訴える従業員に報復することはできません。
障害などにおいて差別を受けたと思われる方は、速やかに弁護士にご相談ください。
Steven W. Epstein スティーブン・エプステイン弁護士
ブランディーズ大学、ニューヨーク・ロースクール卒。18歳から法律事務所で働き始め、2003年まで弁護士組合員として幅広い分野の訴訟を担当。04年に独立し、「Steven W. Epstein & Assosiates法律事務所」を設立した。取扱い業務は、民事訴訟、会社法(設立、契約)、家庭法(離婚)、刑事訴訟など、多岐に渡る。また、NY市行政裁判所にて非常勤審判官も務めている。
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