「何も悪いことをしていないのに、この人はなぜ怖い顔で私を見るのだろう?」と思った人は、その原因を考える前に、自分が睡眠不足ではないかどうかを確認しよう。
カリフォルニア大学バークレー校の心理学・神経科学教授マシュー・ウォーカー氏と研究チームが先月発表した最新の研究結果によると、人は睡眠不足になると表情を読み取る能力が低下するという。
ウォーカー氏のチームは、18人の健康的な成人に好意的な表情から敵対的なものまで70種類の画像を見せて脳と心拍数を測定。また同じ被験者で、十分に睡眠を取った状態と、睡眠が十分ではない状態で実験を行った。
脳の状態を測定した結果、睡眠不足の場合、脳の感情を読み取る領域である前部島皮質と前帯状皮質が、好意的な表情か敵対的な表情かを区別できないことが判明した。また、脳と体をつなぐ神経回路が断絶されてしまうため、脳と体の間で〝体の異変を知らせる信号〟を正常に受けとれないことも分かった。さらに心拍数も正常な状態とは異なり、好意的、敵対的な表情のどちらにも正常な反応を示さなかった。
ウォーカー氏は、睡眠不足であると、好意的な表情でも敵対的だと認識する場合があり、相手を脅威だと思う傾向にあると語っている。他人の表情を認識できるかどうかは、その人と関わるべきかを判断する際に大きな影響を与え、同時に他人が自分と関わるべきかという判断にも影響する。睡眠不足の人は社交性に乏しく孤独感が強い傾向にあるのは、これらが原因かもしれないとも述べている。
さらに今回の実験では、被験者の睡眠中の脳波を測定。「レム睡眠(浅い眠り)」と表情を適切に読み取る脳の機能には相関があることが分かった。レム睡眠は神経系のストレスを軽減させ、不快な記憶を和らげる効果もある。質の良いレム睡眠が取れると、脳と体はより正確に表情を見分けることができるという。
先進国で十分な睡眠が取れている人は、わずか3分の1。日本人は国際的に見ても特に睡眠が足りていないと言われているが、さらにある調査から「男性はさほどでもなく、睡眠不足なのは家事育児をしながら働いている女性に多い」という結果も出ている。心身ともに健やかな生活をするため、睡眠時間を今一度見直してみては。
参考:http://news.berkeley.edu/2015/07/14/brain-facialexpressions/
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