昨今のタイムズスクエアはきな臭い。トップレス女性問題で騒がしいかと思ったら、今度はニューヨークのアンドリュー・クオモ州知事に向けて、痛烈な非難の広告が掲げられた。広告には、若者がヘッドフォンを取りながら、「え?職業経験や技能がなくても、年に3万ドルは稼げるって?」と書かれている。クオモ知事が、ファストフード店で働く従業員の時給および最低賃金を15ドルとする法案を推し進め、まもなくこの法案が可決する見通しに対する強烈なメッセージだ。
この広告は、ワシントンD.C.に拠点を置く「エンプロイメント・ポリシーズ」研究所によって、24日午後から西46丁目とブロードウェーの角に出されたもの。また広告の下部には、「もしもクオモ知事が最低賃金を時給15ドルにしたならば、誰が一体苦労して学位を取ったり、努力して働くっていうんだい?」とも書かれている。
同研究所は、この広告をおよそ1カ月掲げる予定で、費用は10万ドル(約1200万円)だという。研究所のリサーチ担当者は、タイムズスクエアを選んだ理由として、「世界が見る場所だから」としている。「1時間あたり15ドルを得るために、一生懸命働き、働くために努力する人々の価値とやる気を著しく低下させるものだ」と主張する。
一方、年々高騰するニューヨーク市内での生活費に圧迫される低所得者層は、「これでは家族を養っていけない」と主張しており、“世界で最も高い都市”で生き残る手段の模索は誰にとっても課題であり続けるだろう。