9.11米同時多発テロの犠牲者と3.11東日本大震災の被災者への追悼の思いを込めた「風の環コンサート」が11日、マンハッタン区アッパーウエストサイドのエシカル文化会館コンサートホールで開催された。
8回目を迎えたことし、同コンサート主催者のマイク白田氏が主催するジャパン・コーラル・ハーモニー「とも」、グレゴリー・シンガー氏率いる「マンハッタン・シンフォニーオーケストラ」の他に、スペインから「ハポン・ハセクラ・ツネナガ協会」のメンバーらと、3.11の津波にのまれて亡くなった英語教師、テイラー・アンダーソンさんの教え子たちやその父兄、友人などで結成された「ぜってぇまげね合唱団」もステージに立った。
トップを飾ったオーケストラは琴奏者の石榑雅代氏やシンガーのカイル・ロドリ氏と共演し、またニューヨーク育英学園の生徒たちと「ぜってぇ―」の子どもたちの元気な歌声とともに「ドラえもん」を演奏した。毎年大人のハーモニーを披露する「とも」は、9.11で息子を亡くした住山一貞氏がこの日のために作曲した「折り鶴の旅」など、しっとりと響き渡るコーラスで追悼の気持ちを表した。
また、400年前に大使としてスペインとローマに渡った支倉常長の末裔であり、スペイン語で日本を意味する「ハポン」姓を持つ“ハポンさんたち”も、同コンサートのためにスペインから駆け付けた。3.11の直後からさまざまなかたちで日本を支援してきたハポンさんたちが作った、テイラーさんの死を悼んで作った俳句がスペイン語、英語、日本語で披露された。
宮城県石巻市の被災者40人で組織された「ぜってぇ—」は、白田氏が「絶対にコンサートの最後に歌わせたかった」というほど、ことし最大の見どころでもあった。ひとたび歌が始まると、その力強い眼差しと魂の込もった歌声は会場内に割れんばかりに響き渡り、人々を圧巻した。
「ぜってぇ—」のメンバー寺本真奈さん(64)は、「宮城の被災者たちは元気で、世界中からもらった支援を絶対に忘れないということを伝えたい」と語った。