グラセン駅所有者が市を提訴 空中権めぐり11億ドル

 グランドセントラル駅ターミナルの所有者が9月29日、空中権をめぐり市に11億3000万ドル(約1354億5000万円)の損害賠償金を求める訴えを起こした。
 同駅の所有者アンドリュー・ペンソン氏によると、開発業者大手SLグリーン・リアルティは、駅の向かいにエンパイア・ステートビルやクライスラービルよりも高い1400フィート(約427メートル)の超高層ビル「ワン・バンダービルト」を建築するため同氏と空中権購入の交渉を進めていたが、市が同エリアの建築規制を変更し、高層ビルの建設を可能にしたため、同社は空中権を購入する必要がなくなったという。
 同エリアの建築規制を変更する条例案は、マイケル・ブルームバーグ前市長時代に提出され、ビル・デ・ブラシオ市長の下で可決されている。
 ペンソン氏は、市が行った建築規制の変更はベンソン氏が所有する空中権を売却できない無価値なものにしたうえ、いかなる人も正当な補償なしに私有する財産を公共の用のために徴収されることはないと定める米憲法修正第5条に違反すると申し立てている。
 グランドセントラル駅は1967年に歴史的建造物に指定されているが、ペンソン氏は、米最高裁判所が78年に市の歴史的建造物保護条例を支持し、当時の所有者が投資に対し妥当な利益を生むことを認める判決を下している判例を挙げ、同駅の空中権を近隣の不動産所有者に売却する権利はいまだに認められているはずだと主張している。

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