11月に入りだいぶ冷え込んできましたね。ことしは暖冬とはいえ、これからの季節を思うだけで身震いしてしまいそうです。ニューヨークの冬といえば「雪」。クルマの運転を日々の生活から切り離すことができない米国では、雪の上でも運転しなくてはいけないシチュエーションが多々あります。
そこでよく質問をいただくのが、「やはり四駆じゃなきゃいけないのでしょうか?」という内容です。答えは「四駆のほうが無難といわれていますが、絶対に必要という訳ではありません」です。
では、ここで皆さんに質問です。雪道では四駆が安心(無難)とされているのは、なぜですか? ほぼ100%の方が「雪道は四駆(4WD)が良い」という認識を持っているのに対し、驚くことに上記の質問に正解が返ってくる確率は全体の20%にも満たないのです。
今までこの質問をお客様に投げかけた結果、一番多い回答は「スリップしたら怖いから(そうならないように)」の42%、続いて「(止まるときに滑ってしまい)追突してしまうのが怖い」の25%でした。実は、全体の3分の2を占めるこれらの回答は間違いです。理由は次のようなことが挙げられます。
●スリップしやすいかどうかはタイヤの性能、ウェイトバランス、運転方法によって決まりますので、四駆かどうかはあまり関係ありません。
●重量が重いほど止まりにくくなります。同じ車種で四輪駆動と二輪駆動の設定がある車種もありますが、搭載されている機能(パーツ)が多いので四駆のほうが車両重量は若干重く、実は二駆よりも止まりにくいのです。
●ブレーキは摩擦が多いほどよく止まります。しかし、ブレーキは二輪駆動(2WD)車にも四輪駆動(4WD)にも同じく4つずつ装着されていますので基本は同じです。
ブレーキの性能に目が行きがちですが、日常生活の普段使いではこの性能の差を感じることはほとんどありません。特に雪の上に限ってはブレーキやABSの性能がいかに良くても、路面に接触しているのはタイヤであり、タイヤのグリップ力を超えて制動力が発揮されることはありません。また、車両が重い状態では運動エネルギーが大きくなりますので、止まりにくいです。体重40キロの人と体重100キロの人が同じ速度で走ってきた場合、力ずくで止めるとすればどちらが止めやすいかということと同じです。
さて、先ほどの質問の正解は分かりましたか? 答えは「発進時に挙動が安定するから」です。要は四輪駆動車は発進しやすいということですね。特に雪の積もった上り坂ではこの効果が発揮されます。今までのことを踏まえて言い換えると、上り坂ではグリップ力のある四駆が良い。下り坂では車体の軽い二駆のほうが良い。ということですね。
一言に「運転しやすい車」と言っても、さまざまな要素やシチュエーションと自身の運転技術が複雑に絡み合っています。運転しやすい車というのは車両の性能だけでなく、個人の運転時のクセや使用環境や使用用途によっても異なってきます。
ガリバーではお客様一人ひとりの状況を伺い、それらを踏まえてピッタリの一台を提案させていただきます。
プロフィール
大塚 洋一
2004年に(株)ガリバーインターナショナル入社。対企業向けのコンサルティング営業部スーパーバイザーを経て、06年に直営店舗事業部へ転属。日米で店長を経験し、15年2月より米国代表に(NY店店長兼務)。豊富な知識と丁寧な接客に定評あり。緊急時や時間外も対応で心強い。
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