ニューヨーク市交通局のポリー・トロッテンバーグ長官は12日に行われた市議公聴会で、通勤交通費を節約するために、ロングアイランド鉄道(LIRR)やメトロノース鉄道の利用を避け、時間がかかるバスを選ぶ市民が多数いると報告した。
長官は「クイーンズ区東部やブロンクス区北部といった低所得者が多く住む地域では、マンハッタン区まで鉄道があるにもかかわらず、急行バスや地下鉄を利用する通勤者が多い。クイーンズ区ローズデールからマンハッタン区ミッドタウンまではLIRRなら30分で着くところ、バスでは1時間半弱かかるにもかかわらず利用するのは、鉄道料金なら片道10ドルかかり、バスより3.50ドルも高いからだ」と述べた。
同市議会では市内間の利用に限って、鉄道料金をバスや地下鉄と同程度に引き下げる法案を検討しているが、これに対し、ニューヨーク州都市交通局(MTA)側は「これを実行すれば年間7000万ドル(約84億円)の費用がかかる」とコメントしている。
MTA側はさらに「市の制度であるアクセス・ア・ライド(障がい者とシニア向けバスサービス)と割引メトロカードで年間5億4000万ドル(約658億円)の費用を負担しているが、市側からの支払いは2億2000万ドル(約268億円)にとどまっている」とも付け加えた。