ブルックリン区の連邦地方裁判所陪審団は12日、映画「グッドフェローズ」の題材となったジョン・F・ケネディー国際空港での現金・宝石強奪事件に関与したとして起訴されていた犯罪組織ボナンノ一家のメンバー、ビンセント・アサロ被告(80)を無罪とする評決を下した。
同空港内のルフトハンザ航空の貨物庫から現金や宝石類が強奪されたこの事件当時、被害総額が全米最大だったとして世間を騒がせていた。元被告は50万ドル(約6100万円)以上を手にしたが、そのほとんどを競馬につぎ込んだものとみられている。
評決が下されると、元被告は飛び跳ねてガッツポーズをした後、拍手をし、法廷を去る際には両手を上げ「自由だ」と叫んだという。元被告は検察が敗訴した理由を、検察側がさして調べもせずに、マフィアの自分を最初から疑って、犯人だと信じきっていたことだと考えている。被告の弁護団は、検察側は報酬をもらった信ぴょう性の薄い証人に頼り過ぎたと非難した。
証人の1人で元被告のいとこのガスペア・バレンティさんは、犯罪組織ルーチェス一家のジェイムス・バークさんが指揮していた同強奪事件に加わるよう元被告から誘われたことと、バークさんと元被告が1969年、当局へ情報提供をしていた疑いがあった男を犬用の鎖で絞殺し、バレンティさんに遺体の処分を手伝うよう頼んだと証言していた。