ニューヨーク市の機関に勤める職員のミスにより、病院に誤って支払われたおよそ500万ドル(約6億1700万円)の医療費の返還を、市が死亡した患者の両親に要求していたことが、17日付のニューヨーク・ポストにより明らかになった。
メリック・リー君は生後17カ月だった2003年、マンハッタン区にあるプレスビテリアン病院でのレントゲン撮影の失敗により身体に重度の障がいを患い、8歳だった10年に免疫不全で死亡するまでの間、病院での闘病生活を送っていた。
韓国からの移民でロングアイランドのショセットに住むメリック君の両親は、同病院を相手取り訴えを起こし、08年4月に病院側が600万ドル(約7億4000万円)を支払うことで和解した。和解の際、同病院はメリック君の入院により生じた低所得者向け医療費補助制度(メディケイド)が支払うべき医療費の全責任を負うことに合意していた。市の人的資源管理課(HRA)の職員は、メディケイドへの請求額を病院に支払う必要がないとの通知を受けていたがこれを無視し、同病院に480万ドル(約5億9200万円)を支払った。
市は誤りに気づいた後、病院ではなくメリック君の両親にその返還を求めたため裁判となっていた。同区の高位裁判所はこれを「衝撃的な救済要求」とし、HRAの過失であると判断した。