9.11の遺構を博物館へ 継承されていくあの日の記憶

 2001年9月11日の米同時多発テロ事件時に、ワールド・トレード・センター(WTC)駅に停車中で奇跡的に被害を逃れたパス(PATH)トレインの車両が、ニューヨーク州アルスター郡キングストンにあるニューヨーク・トロリー博物館で展示されることが分かった。
 この車両は米同時多発テロが起きた日の朝、多くの乗客をWTC駅まで送り届けたのち、回送となって停車していた。テロ発生時は乗客がおらず、停車していた場所の屋根が奇跡的に崩落を逃れたために車両は原型をとどめていたが、車体には多数の傷跡があり窓ガラスは吹き飛ばされて、事件当時の爆風の衝撃を物語っている。これまでジョン・ F ・ケネディー国際空港で保管されてきたが、16日からニューヨーク・トロリー博物館に展示されることが決定した。
 ニューヨーク・ニュージャージー港湾公社(PA)のスティーブ・コールマン広報担当は「9.11の遺構を展示することで、あの悲惨な出来事を風化させないようにしたい」と述べている。同博物館のエリック・ガルセス館長も「01年当時の広告がそのまま残されている車両内は、あの時から時間が止まっている。長らく公開されていなかったテロの遺構を展示するのはピラミッド霊廟を公開するような厳かなもの」と述べた。

ニューヨーク・トロリー博物館のウェブサイトより