ニューヨーク市は8日、市警察(NYPD)の分署内で、州法で禁じられているノルマ制度が慣行されていると告発したクレイグ・マシューズ巡査に対し、28万ドル(約336万円)を支払い和解することに合意した。同巡査は告発後、署内で懲戒処分を与えられるなど報復人事を受けたとして市を提訴していた。
訴えによると、2008年ブロンクス区42分署勤務のマシューズ巡査は、ノルマ制度のもとで逮捕やストップ・アンド・フリスク(警察による職務質問)の件数、召喚状の発行件数を同僚警官と競わされ、結果のレポートでは目標数に達しない警官が名前を赤字で発表された。
警官同士の競い合いは不当な取り締まりにつながると危惧したマシューズ巡査は、分署長に苦情を申し立てたが、懲罰処分を与えられ残業代の支払いも拒否されたという。
このためマシューズ巡査は12年に市を提訴し、一旦は退けられたものの、ことしに入り連邦上訴法廷で「警官が苦情を申し立てる権利は憲法第一条(宗教・言論の自由)により保障されている」との判決を受けた。
和解内容によると、同警官が受けた職務評定は無効になり懲罰処分も解かれるうえ、市は賠償金と未払いの残業代の合計28万ドルを支払うことになる。