ひき逃げの罰金引き上げ 加害者の多くが逮捕されず

 ニューヨーク市議会は16日、交通事故を起こして現場から逃走した運転者への罰金を引き上げる条例案を可決した。
 現行の規定では、物損事故を起こし現場から逃走した、いわゆる当て逃げ事故の加害者への罰金は初犯で500ドルと定められているが、クイーンズ区選出民主党議員ジミー・バン・ブレイマー氏が提出した同条例案では、これが500〜1000ドルに引き上げられる。また、死亡事故を起こし現場から逃走した加害者の罰金は、現在5000〜1万ドルと定められているが、これが1万〜1万5000ドルに引き上げられる。再犯の場合、加害者への罰金は1000ドルに、負傷者を出す人身事故の場合は2000〜5000ドル、被害者が重症の場合は1万〜1万5000ドル、死亡事故の場合は1万5000〜2万ドルの罰金が科される。
 市では昨年、当て逃げやひき逃げ事故加害者への民事制裁金を科す条例案が提出されたが、今回可決した条例案は、これをより厳格化したもの。
 ニューヨーク市警察(NYPD)は同条例案の公聴会で、ことしに入ってから4000件の人身事故を含む3万8000件の当て逃げやひき逃げ事件が発生したと発表している。そのうち、刑事起訴されたのは480人、交通違反で処罰されたのは475人で、それ以外の加害者は捕まっていないという。