ニューヨークのビル・デ・ブラシオ市長が窮地に立たされている。市にこの10年以内で、“手ごろな価格で購入できる”およそ20万戸の住宅を建設する法案に許可が下りない可能性が出ているためだ。また、16日、「市長の策は約束と違う」として、マンハッタン区ダウンタウンにある市庁舎とアッパーイーストサイドのアーチボルド・グレイシー・マンション(ニューヨーク市長官邸)には抗議の声を上げる多くの人が集まり、市長を非難した。
市長の法案実現、つまり20万戸の住宅を市に建設するためには、市議会の承認が必要不可欠だ。まず反対の意を表明したのは、ブロンクス区。12人の市議会議員全員が市長の案にNGを出した。“低所得者や労働者にとっても手ごろとされている市長の住宅”は、依然ブロンクス区に住む住民が平均的に支払うことができる額とはほど遠いというのが理由、としている。また、クイーンズ区も、承認か却下の判断が難しいとして、市長は追加の資料や説明を用意する必要がありそうだ。
問題となっているのは主に2つの項目で、現在の市場のレベルの住宅を25〜30%安く貸し出す必要性がある点と、より多くの住宅を建設するためには高いビルの建設案が盛り込まれ、建物の外壁、高さやデザインにおける変更に、建築業者が対応する必要性がある点が焦点となっている。市の行政5区の区長全員と主要な市議会員らが、この2点の少なくとも1つを反対しているという。
市長の打ち出した、この公約に期待した市民や建築および不動産業者の怒りは収まらず、「市長の座にふさわしくない」という意見まで出始めた。市長は尻についた火を消し止められるのだろうか。