エイズ(AIDS)治療薬の価格を50倍に引き上げて、“全米で最も憎まれた男”となった製薬会社の元最高経営責任者(CEO)が17日、ブルックリン区連邦裁判所で証券詐欺の一種、ポンジ・スキーム罪の疑いで起訴された。
製薬会社「チューリング・ファーマスーティカルズ」の元CEOマーティン・シュクレリ被告(32)は、2009〜14年の間、以前経営していたヘッジファンド2社の債務返済や個人的出費に充てるために、以前CEOを務めていたバイオ医薬品会社、レトロフィンの資産約1100万ドル(約13億3500万円)を不正流用していた疑いがもたれている。同被告は、ヘッジファンド投資家の1人に、実際は700ドル(約8万5000円)のヘッジファンドの資金を3500万ドル(42億5000万円)だと偽っていたという。同被告は、証券詐欺および別件の共謀容疑により起訴されたが、無罪を主張し500万ドル(約6億600万円)の保釈金を支払い、釈放された。有罪となれば、20年間の実刑判決を受ける可能性が出てくる。
チューリング・ファーマスーティカルズは昨年、エイズやがんなどで免疫力が低下した患者の治療に使われる「ダラプリム」の独占販売権を取得し、9月に1粒13.50ドル(約1640円)から750ドル(約9万1000円)に値上げし世間から批判を浴びていた。同被告は逮捕翌日の18日、同社のCEOを退任している。