“コーシャ”のサインを失う? 「ジョーイ・アラハム」に迫る危機

 ジョーイ・アラハム氏を知らずとも、彼の営業するレストランは有名だ。およそ15年前に初めてニューヨークにレストランをオープンさせてから、コーシャ(正しくはカシュルート。コーシャは、アメリカのユダヤ人による世俗的呼称。ユダヤ教の戒律に基いて生産された食品、または厳しく定められた加工方法や調理法に沿った料理のこと)を提供するレストランとして、多くの人が訪れている。そのアラハム氏のレストランにコーシャ認定がおりない可能性があるとして、彼のレストランビジネスに危機が迫っているのだ。
 コーシャの認定は、ラビ(ユダヤ教においての宗教的指導者のような存在)が行っているが、アラハム氏のレストランがコーシャを提供するレストランとしてふさわしくないのでは、という声があるのだという。アラハム氏は、取材に対し、「戦っているわけではないし、教会から脅迫を受けているわけでもない。問題があれば、協力して解決する」と述べている。一方で、アラハム氏がベス・ディン(ユダヤ教の戒律に関する宗教的な判断を行う独自の裁判所のようなもの)に出向かなければ、コーシャ・ライセンスを失うと脅されているとマンハッタン区の高等裁判所へ嘆願書を提出したと報じるメディアもある。
 アラハム氏は、ミッドタウンの「プライム・グリル」や日本スタイルのステーキハウス「プライム・コー」などの店舗を展開し、高級コーシャレストランとして、マドンナさん、U2のボノさん、政治家のマイケル・ブルームバーグ前ニューヨーク市長や俳優のアレック・ボールドウィンさんなどを顧客にもち、絶大な人気を博しているという。