Dr. 石谷三佳 なるほど!ザ・カイロ 毎月第1月曜号掲載 VOL.60 職場や家庭での腰痛防止

 一生のうちで腰痛に悩まされる人は全人口の70%にも及ぶと、米疾病防止管理センター(CDC)の研究で報告されています。さらに、会社や仕事の影響による労働災害の訴えの16%が腰痛に関連しているとの報告もあります。そのコストは労働災害補償総計費の33%にも達するといわれており、多くの企業にとって悩みの種となっています。大切な従業員が病気やけがで欠勤してしまうことは大きな損失です。既に発生してしまった腰痛の治療だけでなく、積極的に予防に取り組む企業が最近は増えています。
 まずは、どのような仕事が腰痛を引き起こしやすいのかについて考えてみましょう。米労働安全衛生管理局は、腰痛の発生しやすい労働条件として次のようなものを挙げています。

・重い荷物を取り扱ったり、長時間にわたってスタミナや筋力を必要とする肉体労働
・デスクワークなど同じ姿勢で座り続ける仕事や、不自然な姿勢を長時間にわたって強いられる労働
・常に振動を感じ続ける労働(車の運転など)

程度に差はあるものの、ほとんどの仕事に腰痛の可能性が潜んでいることでしょう。
 一番重要なのは腰痛の原因を理解することです。私たちカイロプラクティック医は、こうした事実を認識した上で、問診の際に患者の労働状況を探り出し、どのような姿勢や環境が腰痛の原因になっているのかを調べます。その際、レントゲンはもちろん、整形外科学や神経学の面からも検査を行います。治療は背骨の配列を整えること、椎間板や関節を健康な状態にしていくこと、神経の伝達を促進すること、筋肉や靭帯などの組織のダメージを回復させることを手技や物理療法を交えて行いきます。さらに、腰痛予防のためにリハビリや予防に効果のある筋肉トレーニング、ストレッチ、そして腰に影響を及ぼしにくい姿勢や、物を持ち上げる際のテクニックなどもアドバイスしています。カイロプラクティックの腰痛の治療は、健康安全局(Agency Of Health and Public Safety)にて、「腰痛治療に最も効果のある治療法である」と報告されています。
 腰痛を防ぐためには、仕事の環境だけでなく、家庭での環境改善も大切です。実はちょっとした改善を行うだけで、腰や肩への負担を大きく減らすことができるのです。例えば、座り姿勢、立ち姿勢、歩き方を少し改善するだけでも、腰痛を防ぐ効果は絶大です。それに加え、適度なエクササイズや栄養バランスの取れた食生活も、さらなる予防効果を望めます。企業が労働環境の改善のために、カイロプラクティック医に視察を依頼することも珍しくはありません。雇用者にとっては、少しの改善で従業員の欠勤を減らし、就労能率を向上することができるからです。
 カイロプラクティック医は腰痛を治療する専門医ではありますが、それ以前に、腰痛にならないための指導も行っています。何はともあれ、痛みを慢性化させない最善策は早期処置です。もし既に腰痛に悩まされているのであれば、一日も早くカイロプラクティック医にご相談ください。

Dr. 石谷三佳
石谷カイロプラクティッククリニック院長。パーマーカイロプラクティック大学院卒後、ハーバード大学医学部専門課程終了。米国、米国小児、ニュージャージー、日本カイロプラクティック協会会員も務め、2008年には「Chiropractor of the Year」を受賞。寄稿著者に“Neck Pain…
You Don’t Want It, You Don’t Need It”がある。

石谷カイロプラクティックセンター
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