ニューヨーク市立の高校の一部では問題を起こした生徒たちへの警告カードが導入されているが、その後の対応が不十分なため、問題行動を見過ごす事態を招いているのではないかと懸念されている。
ビル・デ・ブラジオ市長と市の教育委員会によって発案されたこの警告カードは、ニューヨーク市警察(NYPD)の協力を受けて2015年の夏から同市内にある公立高校のうち37校で試験的に導入されている。これまで、生徒が暴力や危険物を校内に持ち込むなどの問題行動を犯した場合は停学処分を下されることが多かったが、この新しい制度のもとでは問題を犯した生徒に注意を促す警告カードが渡されるだけで、生徒への処罰が寛大になっているという。ブロンクス区のある高校では大麻7袋を所持していた生徒が警告カードを渡されるだけで許される事態が起きている。
デ・ブラジオ市長は就任以来、公立学校の環境改善を政策の1つに掲げており、生徒の停学処分数減少は市長の功績となるため、このような制度が導入されたのでは、と疑問視されている。
昨年に比べると確かに停学処分数は減少しているが、多くの教師は「生徒は適切な処罰を与えられずに許される事態が起きている」と訴えている。またNYPDの一部の警察官も「校内での犯罪が減少しているのではなく、問題行動に目をつぶっているだけで、このようなプログラムは将来、犯罪の温床を作りかねない」と懸念している。